① 長寿医療制度(後期高齢者医療制度)
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が4月1日からスタートした。この制度は現行の医療保険制度を維持しながら、少子高齢化時代を乗り切っていくためにだされたものである。
与野党で数年間議論を重ね、中医協、日本医師会の意見を聞きその最大公約数としてまとめられた。正規の国会手続きを経て承認されたものを僅か2ヶ月足らずで制度廃止や元の老人保健制度に戻そうとする動きには全く納得できない。マスコミもこうなることを待っていたかのように、今一番国民が敏感になっている「年金」と結びつけて煽り立てる。
15年後には団塊の世代も後期高齢者に入ってくる。その時には国民医療費は33兆円が56兆円、老人医療費は11兆から2倍以上25兆円に膨らむ。この負担を現役層に押しつけられるのだろうか。今のままの老人医療費では現役層の負担が余りに大きくなり過ぎるから75才の年齢で区切って、本人負担1割、現役から4割、国(税金)で5割とした。とに角、数年間やってみる。その間に不備があれば現役・高齢者・国の配分率などルールを再検討すればいい。それにしてもこれ以上の現役負担は医療保険制度の崩壊に結びつく。残念なのはこの制度が始まる前に厚労省や担当大臣からの説明が欲しかった。全ての人にいい制度はないのだから、負担増になる人への時間をかけた丁寧な説明、対話と理解を得る努力が必要だった。
いずれにせよ、細かい修正はあってもこの長寿医療制度のなかで75才以上の方の健康管理はなされていくのである。
② 特診・特定保健指導(メタボ健診と仮に呼ぶ)
この4半世紀の医療の流れは、患者中心の医療、全人的(ホリスティック)医療へと方向を変えてきた。新しいうねりは疾病治療つまり「治す医療」からもう一方で予防・健康増進の視点へ変換する方向を示した。
未来医療は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を駆使する再生医療と遺伝子診断・治療、もう一つはメタボ健診と呼ばれる予防・健康管理への大きな試みである。
この試みは世界的にも注目されるほど大規模で、5~10年の成果で評価されるべきものだが、その結果によっては医療の大きな柱のひとつに成り得るものと期待される。
③ 生老病死
不治といわれたがんも今やその50%は治る時代になり、文字通り生老病死の順で四苦が語れるようになった。
厚労省の保健・医療・福祉(介護)の三位一体は、一生を通した健康管理システムのなかで医療が担う責任がある。今や医療の崩壊したイギリスでいわれた「ゆりかごから墓場まで」が日本の医療で生き返る。
つまり生を受け、成人からの健康啓蒙とメタボ健診、高齢者の医療・福祉(介護)から長寿医療制度による健康寿命の管理と緩和ケアでの大往生まで切れ目のないヘルス・コントロール・システム(HCS)を担うのが医療機関(病院)の使命になる。
病院の機能は第一次から第5次医療改正で、急性期(大学病院、日赤、市立病院、厚生病院など)と慢性期(療養型病床)は、はっきりと定義された。しかしその急性期と慢性期の中間にある病院の機能分化については、2010年の第6次医療改正の大きなテーマになるだろう。この中間に位置する病院の使命がはっきりしなければ急性期・慢性期病院がその機能を充分に発揮することができない。今、仮に亜急性期あるいは地域一般病床として区別されている病院の担う役割は重い。
これからの厚労省・日本医師会・中医協の動きを、こんなことを念頭にマスコミ報道に注意を払ってみていただきたい。
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